Life in Germany

【海外】ドイツで歯医者に行くといくら?見積もりや保険のシステムについて

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現在ドイツで社会人中の私ですが、4カ国目、通算9年の海外生活で今年は初めて歯医者で本格的な治療のおせわになりました。全ての治療が終わり、その後不具合もないので、今回の経験を何度かに分けてシェアします。

*個人的な見解で、ドイツに暮らす全ての人に必ず当てはまる内容ではありませんので、必ずご自身で実際に医師と内容を確認してください。

海外生活中は甘いものに気をつけて

なんせ短期留学からワーホリ、大学、大学院、社会人と国も変わりながらの海外生活に慣れていた私は、日本から出国する前には必ず歯医者に行っていました。1年程度の短期であれば、事前に日本の歯医者で治療を完了させてから出国しましょう。

それでも私のように、5年、6年と生活が長くなり、日本に保険がないとなると。とうとう、歯医者にお世話になる時が来てしまいました。

きっかけは、ムービーナイトのイベントに参加した時のこと。普段はヌガーなど歯の詰め物が取れそうなものは避けて生活してきたのですが、つい、お隣の方から回ってきた甘いチューインググミのようなものを食べてしまいました。そして、うっかりと左の奥側の歯の詰め物らしきものが取れてしまいました。

その時は大きな詰め物が取れたな、くらいの感覚でしたが、これが30年近く前に根管治療をした歯でした。

皆さん、日本ではあまりお目にかからないヌガーやチューインググミのようなものには気をつけてください。

ちなみにその歯の治療がほぼ終わりかける頃、不運にも右側手間の、これまた30年近く前に同じく根管治療した歯が今度はキャラメルポップコーンで欠けてしまいました。不運。

ドイツの歯医者を探す方法

ドイツの歯医者は自由診療の範囲が広く、公的保険でのカバー範囲は日本より少し狭い印象です。
そのため、歯医者によって治療方針や金額の提示に差があります。

特に歯医者は技術や施設によって差が出るので、もしお住まいの地域に幾つかあれば

  • 友人や知人に紹介してもらう
  • googleなどのクチコミも参考にする
  • 初診にいくつか足を運んで比較する

治療が始まってから歯医者を変えるのは面倒です。ですが実際にドイツ人でも長く通っていた歯医者を何か新しい治療をきっかけに変えるという話はよく聞きます。どんなお医者さんもそうですが、得意な治療が違いますし、特に歯の治療は安くないので慎重に選びましょう。

一般的なドイツでの歯科医療にかかる金額

ドイツの公的健康保険(Gesetzliche Krankenversicherung, GKV)に加入している場合、歯科治療にかかる費用は、保険でカバーされる範囲内なら低く抑えられます。ただし、自己負担が必要なケースも多いです。

以下は平均的な費用の簡易料金表です。

治療内容公的保険の適用範囲患者の自己負担額(目安)
定期検診完全カバーなし
歯のクリーニング保険適用外(多くのケースで)50~120ユーロ
虫歯治療(コンポジット充填)保険はアマルガム充填をカバーコンポジット充填の場合20~100ユーロ
クラウン(冠)保険は「標準治療」の50~60%をカバー150~600ユーロ
*オールセラミッククラウン:700~1,000ユーロ
*部分セラミッククラウン:400~600ユーロ
ブリッジ保険は基準額の50~60%をカバー500~2,000ユーロ
義歯(総入れ歯)保険は基準額の50~60%をカバー500~1,500ユーロ
歯列矯正(成人)保険適用外2,000~10,000ユーロ
  1. 定期検診:だいたい年2回の検診が保険でカバーされます。
  2. 充填物の選択:アマルガム(銀色の詰め物)は保険でカバーされますが、見た目が自然なコンポジット(白い詰め物)を希望する場合、追加費用が発生します。
  3. 補綴物(クラウンやブリッジなど):基準額に対する50~60%の保険カバーが基本です。患者は治療計画(Heil- und Kostenplan)に基づいて自己負担額を事前に確認できます。
  4. 追加保険(Zusatzversicherung):自己負担額を抑えるために、歯科向けの追加保険に加入する人も多いです。

この値段表は私が個人的に2024年にインターネットで調べたことをもとにしてます。治療内容や使用する素材、歯医者の料金設定により変動するため、正確な費用は事前に歯科医院で確認してください。

まずは初診で見積もりを取ってもらって比較しよう

さて、現在ドイツに住んでいるとは言っても、仕事のためにオーストリアから移住してきてまだ1年弱、掛かり付けの歯医者がありませんでした。そこで、まずは友人や会社の同僚に歯医者を紹介してもらいました。

そして実際に2箇所の歯医者に行き、見積もりを取ってもらいました。

ドイツの歯医者は必ず最初に見積もりを提示することが義務付けられています。初診に行っていきなり治療がスタートすることはないはずです。もし、いきなり治療が始まるような緊急の場合でも、同意書にサインしてから治療スタートとなるはずです。

そしてドイツで生活する上で義務付けられている公的保険に入っていれば、初診は無料でしてもらえます。レントゲンを撮ったりするので心配すると思いますが、カバーされるはずです。私はAOKに入っていますが、初診やコントロールと呼ばれる経過観察のような診療にはお金がかかりませんでした。

実際に2箇所に行ってよかったと思っています。実は全く違う治療方針を提案されていました。

歯医者A
歯医者A

30年前に行った根管治療の根本に炎症が見られるので、もう一度最新の技術(マイクロスコープ)で治療し直し、ファイバーコアを入れてセラミックの被せ物をしましょう。まだ若いですし、周りの歯も健康なので、抜かずに残せばあと20年は持ちますよ。ごくごく小さな虫歯も見られるので、歯石を取って、まずは根管治療までで全部合わせて1200ユーロですね!セラミックの被せ物の値段は治療が終わったら提示されます。だいたい600ユーロくらい。分割可、5年の保証付!ちなみに僕は根管治療の専門医です!任せて!

歯医者B
歯医者B

根管治療?マイクロスコープ?いやいや、そんなん意味ないよ。どうせまた悪くなるんだから抜いちゃいましょう!左右の歯も削ってブリッジにしよう。その方が早いし。だいたいマイクロスコープなんて!ブリッジまででだいたい1500ユーロだね!すぐ終わるよ!

というわけで、全然違う提案をされました。
根管治療は、そこにさらにセラミックの被せ物の値段も加わるので、ブリッジより高くなります。虫歯の治療や歯石のクリーニング費用に大きな差はありませんでした。

ちなみに歯医者さんの印象はブリッジを勧めてくれた方がザ街のお医者さん!他のことにも相談に乗ってくれそうな親身な感じ。おそらく安く済む治療を勧めて、懐事情に寄り添ってくれるタイプ。根管治療のスペシャリストはクリニックの先生で、若くて自信満々、初診の印象はちょっと冷たい。

結局、1週間くらい悩んで、根管治療をすることにしました。健康な歯を削りたくなかったことと、高くても、運よく収入がある今なら払えるので、払える時に良い治療を受けることにしました。

ドイツに長く暮らすなら追加保険(Zusatzversicherung):歯科向けの追加保険にが◎

後で知ったことですが、ドイツ人の多くは公的保険の他に、歯医者用の積立保険のようなものに入っている人が多いです。私はそもそもドイツに長く住む予定ではないので入りませんでしたが、長く暮らす予定の人は入っておくといいと思います。

比較表があったので、貼っておきます。

笑ったのが、ブリッジを勧めてくれた歯医者Bさんに「君の治療は緊急じゃないから、とりあえず積み立ての保険に入ってからまたおいでよ。その方が安いよ」と言われたことでした。多分グレーなアドバイス。笑。

この比較表もその先生に教えてもらいました。
他にも定期的に診療に行っていればスタンプが集められて、実際に治療する時に割引みたいなものが適用されるBonusheft für Zahnersatz 制度もあります。

Bonusheft für Zahnersatz

法定健康保険に加入している患者さんで、義歯(ブリッジ、人工歯根)が必要な方は、加入している健康保険者から費用の補助(定額補助といいます)を受けることができます。この定額補助の金額は、以前のように入れ歯の実費ではなく、治療の種類に応じて一律に設定されています。例えば新しいクラウンが必要な場合、一定額が法定健康保険から支払われる。患者がいわゆるボーナス手帳を所持していれば、助成金が増額される。ボーナス手帳はどこの歯医者でも入手できる。歯科医院で検診を受けた年数に応じてスタンプが押される。

ボーナス手帳による入れ歯の助成

20%のボーナス:
5年間連続して歯科医院で検診を受けた場合(ボーナス冊子にスタンプを5個押印)、通常の定額助成金に20%が上乗せされます。
30%のボーナス:
10年間毎年スタンプを集めると、定額助成金の30%が追加支給される。

これも5年継続して初めて意味があるものなので、私は作りませんでした。これでこの先5年以上ドイツにいたら笑ってやってください。

歯医者の見積もりを読み解く簡単なドイツ語

ドイツ語日本語訳説明
Zahnarzt/Zahnärztin歯医者/歯科医一般的な歯科医の呼称
Zahnbehandlung歯の治療一般的な歯科治療
Kostenplan見積もり計画治療にかかる費用の計画
Kroneクラウン/被せ物歯の修復に使用される人工の歯冠
Brückeブリッジ歯を補うための人工的な架け橋
Implantatインプラント歯を補うために骨に埋め込む人工の歯根
Füllung詰め物虫歯などを修復するための詰め物
Zahnreinigung歯のクリーニング歯石除去や歯磨きのプロフェッショナルクリーニング
Prothese義歯部分入れ歯や総入れ歯などの人工の歯
Wurzelbehandlung根管治療歯の根っこの治療
Karies虫歯歯にできる穴や損傷
Zahnschmerzen歯の痛み症状としての歯の痛み
Betäubung麻酔治療時の痛みを軽減するための麻酔
Privatversicherung民間保険民間の健康保険
Krankenkasse健康保険公的健康保険
Eigenanteil自己負担分保険でカバーされない部分
Abrechnung請求治療後に発行される請求書
Materialkosten材料費使用した材料の費用
Zahnsteinentfernung歯石除去歯石を取り除くプロセス
Röntgenレントゲン歯や顎骨の状態を見るためのX線撮影

長くなったので、実際に治療を開始した話はまた次回に。

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