ヨーロッパの長距離列車が遅延して乗継が上手くいかなかった時にすること。

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ヨーロッパの電車はとにかく時間通りに動きません。
特に私が生活しているドイツ語圏であるオーストリア-スイス-ドイツを列車で長距離移動するときに
時間通り移動できる確率は50%くらいです(わたしの経験値比)。つまり2回に1回は遅延やキャンセルに当たります。そう、とんでもないわけです。

 

えっ異国の地で電車を逃すって…恐怖でしかないんだけど…?

ただ、電車移動の方が楽なこともあるからね…

ここは郷に入っては郷に従え、困ったときの対処法を伝授しようじゃないか!

というわけで、今回はドイツ語圏で電車の遅延に巻き込まれたときの対処法を

わたしの経験からお伝えします!

ヨーロッパの長距離列車とは

まずは長距離列車の簡単な紹介から。

オーストリアはウィーンからフランスのパリ、デンマークまで乗り継げば列車で移動することが出来ます。陸続きのヨーロッパならではの旅の移動手段ですよね。長距離列車の種類は大きく分けて3つあります。チケットを購入する時の参考に、簡単に説明しますと…

1.ICE
InterCityExpressの頭文字を取ったICEは、この3種類の中では一番早く移動できます。いわゆるドイツの新幹線です。

2.IC/EC
InterCityの頭文字を取ったのがIC、EuroCityの頭文字を取ったのがECです。主要都市を結ぶ、いわば特急列車です。ECはヨーロッパの近隣都市間も走ります。

3.RE
RegionalExpressの頭文字を取ったのがRE、都市間をつなぐ快速列車です。

それ以外にもRB, S-Bahnがありますが、こちらはローカル線です。
Regionalbahnの頭文字を取ったのがRB。都市の中心に走る地下鉄の終点からさらに郊外に出る時などにS-Bahnに接続するイメージです。

上から順に日本でいう新幹線から各駅停車へと下がっていくイメージです。ICEが一番新しくて速い新幹線みたいなものです。

※予約の仕方やサイトはまた別の記事をアップします。

ドイツ鉄道の遅延はもはや当たり前

遅延が当たり前でも若者には人気

2回に1回は遅延するような鉄道移動でも、利用者は多いです。
私の個人的体感も、飛行機でヨーロッパ内を移動する友人の方が少ないですし、特に20代の友人たちの中では、鉄道で移動できる距離を飛行機に乗るのはちょっと恥ずかしいとすら思っている節があります。

3-4時間の移動で鉄道が選ばれるのは納得できますが、8時間の移動でも鉄道を選ぶ一番大きな理由は、環境問題でしょう。

鉄道が旅客1人を1km運ぶときに排出するCO2は、自家用乗用車の7分の1、航空の5分の1といわれています。

フライデーズ・フォー・フューチャーというスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが行っている気候変動に関するストライキデモを知っている方も多いと思います。ニュースの中の光景のようですが、ヨーロッパの都市では今でも頻繁にデモが行われていますし、環境問題は一番のホットトピックです。

私が列車を選ぶ理由も、環境問題によるところが大きいです。日本に帰国するときにはどうにも、他の手段がないにせよ、日常では出来ることから。ごみの分別のように、もはや馴染みのある習慣でもあります。

とはいえ、定刻通りにつかないのは百歩譲って、余裕を持った計画で乗り切れるとしても…
一番困るのが、乗り換えに失敗してしまうことです。


慣れない頃は、遅延に怯えて乗り換えに1時間など余裕を持っていましたが…夏はともかく冬の寒い日に屋外の駅のホームで1時間…耐えられない!ということで、今は駅の大きさに合わせて10分程度の乗り換えで乗車券を購入するようになりました。

鉄道利用の利点

とはいえ、環境問題など個人の趣向以外にも、鉄道の利点はあります。

  • 自転車や楽器などを簡単に持ち運べる
  • 子供連れの場合はプレイゾーンのある車両を選べる
  • 手荷物の重量制限がない
  • 景色が楽しめる
  • 乗り換えの時間を工夫すると他の都市に寄り道できる

例えば乗り換えのない、3時間や4時間程度の移動であればそこまでストレスなく利用できると思います。私は特にスイスを通過する路線が好きです。夏は特に山も湖もきれいで、ついつい見惚れてしまいます。ヨーロッパに来たな!という感じがすると思うので、旅行の方におすすめです。

遅延で乗り換えに失敗したら

実は1時間以上の遅延の場合は料金の返金が受けられる

ドイツ鉄道の場合、60分以上の遅延から料金の返金を申請することが出来ます。

Der Zug hat Verspätung. Was können Sie jetzt tun?

Lösung: Generell erhalten Sie ab einer Verspätung von 60 Minuten am Zielbahnhof eine Entschädigung von 25 Prozent des gezahlten Fahrpreises für die einfache Fahrt, ab 120 Minuten Verspätung sind es 50 Prozent für die einfache Fahrt. Bei einer Fahrkarte, die Hin- und Rückfahrt beinhaltet, wird die Entschädigung auf Grundlage des halben bezahlten Fahrpreises berechnet.

電車が遅れた時、あなたにできることは何ですか?

解決策:原則として、目的地の駅で60分以上遅れた場合は支払った片道運賃の25%、120分以上遅れた場合は片道運賃の50%が補償されます。往路と復路を含む乗車券の場合、支払った運賃の半額を基準として補償額を算出します。

ドイツ鉄道Q&A

もし、ドイツ在住でドイツ語のコミュニケーションに抵抗がなければ一度試してみてもいいかもしれません。私はさすがに1時間以上の遅延は経験がないのですが、機会があれば(ない事を願いつつも)挑戦してみたいと思います。

インフォメーションで遅延証明と新しいチケットを発券してもらおう

乗り換えの駅に着いた時点ですでに遅延していた場合は、そのままインフォメーションに行きましょう。遅延した列車のチケットと乗継出来なかったチケットを見せれば、だいたいは「あぁ、はいはい」と遅延証明と替わりの新しい列車のチケットをその場で発券してくれます。

駅によって、出されるフォーマットは様々です。
ミュンヘン駅ではプリントされた乗車券に遅延証明のスタンプを押されただけだったり、
ザルツブルクの駅では、丁寧に新しい乗り換え案内まで印刷して出してくれたこともありました。
チューリッヒの駅では、遅延の為、別の列車を利用することを許可しますといった文言が書かれたチケットを貰いました。

インフォメーションで出してもらった証明書を、車内の検閲時に見せれば問題ないはずです。


完全に間に合わない遅延でないと基本的には対応してくれない

乗り換え時間が例え3分になろうと、可能性がある場合には、たいていみんな走ります。
ドイツの主要乗り換えの駅では、大荷物で全力疾走している人をよく見かけます。そんな時は心の底から、「がんばれ…気持ちは痛いほどわかるぞ!」とエールを送りたくなるものです。

なだか理不尽な気もしますが、大抵の人が全力疾走で何とかことなきを得るので、時間が足りなくて無理そうだからとインフォメーションに行ってしまうと対応してくれない可能性はあります。ただ遅延には違いないので、戦って勝てる可能性もゼロではない気はしますが…もはや運です。

実は私、例外を経験したことがあります。

鉄道の旅、失敗談

途中で2両に分かれる列車に間違えて乗車してしまった失敗談

ウィーンからドイツのフランクフルトへ向かう列車に乗ったときこと。ウィーンから乗る時に車両の行き先が違うことには気が付いていましたが、列車の番号自体が合っていたのそのまま着席。ミュンヘンで乗り換えるはずが、気が付けばインスブルク、次の停車駅はスイス国境…あれ?なんだかおかしいと気が付き、隣の人に行き先を尋ねると、スイス行きと言われて、あわててインスブルクで下りました。

駅のインフォメーションに行って事情を聞くと、ザルツブルク辺りで2つに分かれる形式で、私はミュンヘン行きではない方の車両に乗っていたのが原因だと分かりました。

当日発行のチケットは高いです…学生だった私は、そんな…と顔面蒼白に。
するとインフォメーションの担当してくれた方が「あなたの印刷されたチケットにはそんなこと書いてなかったんだもの、それは間違えるわよね。心配しなくて大丈夫よ」と、無料で新しいチケットを発券してくれたことがあります。

その後、誰に話しても、それはラッキーだったね!と言われるので、これは相当なイレギュラーだったと思います。

とはいえ、とりあえず困ったらインフォメーションに駆け込んでみるのをおすすめします!

線路付近で爆弾が見つかり2時間の遅延

これはつい最近の友人の経験談です。
バーゼルからドイツへ乗り入れる列車に乗ったところ、アナウンスで「爆弾が見つかりました。処理が終わるまで停車します」と。イギリス人の友人びっくりして、ドイツで待つ私たちへ連絡してきました。実はこれ、ドイツではあるあるなんだそうです。
戦時中に使用されていた爆弾がそのまま放置されていたものが発見されると、もちろん危ないので爆弾処理班が仕事を終えるまで周辺に住む人や、交通が封鎖されるそうです。

それにしても、最初にメッセージで「爆弾が見つかったらしい」と届いたときは背筋が凍りました。まさかテロに巻き込まれたんじゃないよ?と。

結局2時間後に爆弾は無事回収されて、運行再開。車内で拍手が起きたと笑い話になりました。

それでもヨーロッパの鉄道旅行は素敵です

ここまで読んでちょっと怖気づいてしまう方もいるかもしれませんが…
乗り継ぎのない列車の場合は余裕を持って計画を立てれば問題ないと思います。ちょっと地方都市に行ってみたり、3時間で隣の国へ行けるのはヨーロッパ旅行の醍醐味です。

日本とは違う景色をぜひ楽しんでください。

夏にバーゼルを訪れたときに。


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